目の端に膜が張った感じ
すがい眼科 菅井哲也 先生
【質問】70代女性です。昨年8月に左目の白内障手術を受けましたが、術後、目の端に膜が張ったような違和感が残り、膜が揺れる感じがする時もあります。UVカットレンズの眼鏡をかけると、それほど気にならなくなります。手術をしてもらった医師に相談しましたが、目に異常はなく、様子をみてほしいとのことでした。一日中眼鏡をかけるのは憂鬱ですが、はずすといらいらしてしまいます。どうすればいいでしょうか。
【答え】断片的な情報だけで診断するのは非常に難しい症状です。ドライアイや手術時の角膜切開創、手術の合併症として起きる可能性がある後発白内障、レンズがずれる眼内レンズ偏位、硝子体の混濁、網膜の牽引などの可能性を調べる必要があります。私の推測になりますが、原因として最も考えられるのは、白内障の手術をした際に入れた眼内レンズのエッジグレアです。
エッジグレアは、眼球内に入ってきた光が眼内レンズの端の部分(エッジ)に当たり、乱反射を起こして発症すると考えられています。典型的な症状として、暗い場所で光を見ると光の周りに輪状の光(ハロー)やすじ状の光(グレア)が発生し、街頭や車のライトがにじんで見えます。そのため、夜間の運転や暗い場所での活動に支障が出ます。
この現象は遠くまたは近くのどちらかにピントを合わせる単焦点眼内レンズより、遠くから近くまで広い範囲にピントが合う多焦点眼内レンズで起こりやすいと言われています。
対策として、サングラスや偏光眼鏡、遮光眼鏡をかけると一定の効果があります。また、眼内レンズの端に光が当たらないように、瞳孔を縮める点眼薬を使用すると症状は軽減します。ただ、効果が一時的な上、瞳孔が縮むことから目の前が暗く感じるなどの副作用もあります。眼内レンズのサイズを大きくしたり、多焦点眼内レンズから単焦点眼内レンズに変更したりするのも効果が期待できます。しかし、手術からかなり時間がたっているようなので、眼内レンズを交換する手術は難しいと思います。
同じような症状を訴える患者さんは、当院にも時々来られますが、ほとんどの人は時間とともに症状が和らいでいくようです。治療が困難な場合もありますが、担当の医師と十分に相談して下さい。