令和8年度「目の健康講座」の講演内容をご紹介します

 

10月10日の「目の愛護デー」にちなんだ「目の健康講座」(徳島県眼科医会など主催、徳島新聞社など共催)が9月27日、徳島市のふれあい健康館で行われました。板東眼科(阿波市)の西田雅宏医師は白内障を、はのうら眼科(阿南市)の香留(かとめ)崇医師は眼底疾患をそれぞれ解説しました。徳島アイバンク理事で坂出回生病院(香川県)の宮本龍郎医師は角膜疾患について説明しました。要旨は次の通りです。

なお、目の健康相談担当医は、猪本康代医師・山根伸太医師・菅井哲也医師・香留崇医師でした。

 
目の健康寿命を延ばす ~知っておきたい眼底疾患~
香留崇 医師 (はのうら眼科)

加齢による視機能の衰えが全身の衰弱を招く「アイフレイル」という概念が提唱されている。「にじみ」「まぶしさ」「ぼやける」といった見え方の不調はアイフレイルのサインだ。この段階で適切に対処すれば、健康な状態に戻せる可能性がある。
 視覚障害の主な原因は、カメラのフィルムに相当する網膜の疾患である。その代表が「加齢黄斑変性」だ。視界の中心を担う黄斑部に異常な新生血管が生じ、視界の歪みや深刻な視力低下を引き起こす。初期にはサプリメント摂取が進行抑制に有効だが、進行期には薬剤を眼球内に注射する「抗VEGF療法」が治療の柱となる。
 もう一つの重大疾患が、糖尿病の三大合併症の一つである「糖尿病網膜症」である。自覚症状がないまま進行し、最悪の場合は失明に至る。そのため、眼科医と内科医が連携した徹底的な管理が欠かせない。重症化した場合は眼球内を手術する「硝子体手術」が行われる。
 50歳から5年ごとに検診を受けることで、失明のリスクを大幅に軽減できるという報告もある。いつまでも自立した快適な生活を送り続けるために、不調の有無にかかわらず定期的に眼科を受診することが重要である。

見える喜びをもう一度 白内障治療のいま
西田雅宏 医師 (板東眼科)

 まぶしさや視力の低下、眼鏡をかけても手元の文字が読みづらいのは白内障の典型的なサインである。原因の多くは加齢で、80代ではほぼ全員に見られる。
 白内障は単なる視力の問題にとどまらず、認知症や抑うつ状態の要因となる。一方で、白内障手術を受けることで認知症の発症リスクを約3割低減できるという研究結果も示されている。
 根本的な治療法は手術のみである。手術は、黒目と白目の間に2~3ミリの小さな傷を作り、超音波で濁った水晶体を砕いて吸引した後、人工の眼内レンズを挿入する。局所麻酔下で行われ、時間は15分程度、多くは日帰りでの実施が可能だ。
 挿入するレンズには「単焦点」と「多焦点」がある。単焦点レンズは特定の距離にピントを合わせるため、他の距離では眼鏡が必要だが、保険適用内で治療できる。多焦点レンズは複数の距離にピントが合うため眼鏡の使用頻度を減らせるが、選定療養として追加費用が発生する。個々のライフスタイルや目の病気の状態に合わせた選択が重要だ。
 

角膜移植が必要となる角膜疾患について 

宮本龍郎 医師 (坂出回生病院眼科・徳島アイバンク理事)

 日本の中途失明原因の中で、角膜疾患による失明は全体の2%弱に過ぎない。角膜移植はこれら網膜や視神経の病気には効果がなく、対象となるのは角膜自体の混濁や変形を伴う疾患のみである。
 角膜は「黒目」と呼ばれるが実際は無色透明で、カメラのレンズの役割を果たす。
 主な角膜疾患には、アカントアメーバ角膜炎をはじめとする感染症角膜潰瘍や角膜が薄くなり突出する円錐角膜、内皮細胞の機能低下で角膜が腫れ混濁する水疱性角膜症などがある。
 角膜移植手術の手法は、大きく分けて三つ存在する。第一に「全層角膜移植」は、角膜の全層をドナーのものと取り替える最も歴史ある手法だ。ほぼ全ての角膜疾患に適用可能だが、縫合による乱視や拒絶反応のリスクが残る。第二に「深層角膜移植」は、濁った実質層のみを移植する方法である。自己の内皮細胞を残すため拒絶反応が起きにくいが、手術の手技が複雑である。第三に「角膜内皮移植」は、内皮細胞を含んだシート状の組織片を移植する手法だ。水疱性角膜症のみに適用される。
 角膜疾患は失明原因としては少数派だが、コンタクトレンズケアの不備やドライアイからも発展し得る身近な疾患なので注意が必要だ。

目の健康相談には約30名の方が直接眼科医に相談されました。

当日出務していただいた先生方はもとより徳島新聞社のスタッフの皆様の多大な協力により成功裏に終了いたしました。ありがとうございました。今後も徳島県眼科医会会員の皆様にはご協力お願い申し上げます。

 また、徳島県民の皆様、来年もご参加お待ちしています。