2019年「目の健康講座」

 10月10日の目の愛護デーにちなんだ「目の健康講座」(徳島県眼科医会など主催徳島新聞社など共催)が9月29日、徳島市のふれあい健康館で開かれました。

徳島県眼科医会の福本幸司理事は「白内障」について、徳島大学病院眼科助教の藤原亜希子医師は「ロービジョン・ケア」について、徳島アイバンクの宮本龍郎理事は「角膜移植」について講演しました。

藤原医師、福本医師、秦裕子医師による目の健康相談や、移動式眼科医療支援車両ビジョンバンによる無料健診も行われました。

講演要旨は次の通りです。

よく分かる白内障

   徳島県眼科医会理事 福本 幸司 先生

徳島県眼科医会理事 福本 幸司 先生

 白内障というのは目の水晶体という部分が混濁し硬くなる病気だ。ほとんどの白内障は加齢によって起こる「加齢性白内障」だが、その他アトピーや糖尿病などの全身疾患によるもの、目のケガや放射線によるものなど原因はさまざまだ。

 白内障の手術で現在一般的なのは「超音波乳化吸引術」である。眼内レンズには、一カ所にピントを合わせる単焦点レンズと、複数の場所にピントを合わせる多焦点レンズがある。日常生活が不便になってきたら手術を検討する時期なので、かかりつけ医と相談していただきたい。

ロービジョン・ケア~見えにくい方の生活を豊かに

徳島大学病院眼科 助教 藤原 亜希子 先生

徳島大学病院眼科 助教 藤原 亜希子 先生

 「ロービジョン」とは低視覚が原因で見えづらく、かつ生活に困っている状況のことで、世界保健機関(WHO)では0.3未満の視力をロービジョンと定義している。

「ロービジョンケア」という支援があることを知っていただきたい。

 ロービジョンケアでは、まず様々な「見やすくなる工夫」を行うほか、歩行や移動の支援、福祉制度の利用、就学就業継続、職業訓練、心の葛藤に対する支援などが行われている。

 現在、徳島ロービジョンネットワークには、眼科医師、視能訓練士、歩行訓練士、視覚支援学校教員と複数の職種が関わっている。同会では、ロービジョンケアの関連施設(眼科外来、徳島視覚支援学校、視覚障がい者支援センター)を紹介するリーフレットを作成し、必要な方に配布しているなど様々な活動を行っている。

角膜移植のいろいろ

徳島アイバンク 理事 宮本 龍郎 先生

中途失明の原因は、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などがあるが、手術により視力改善が見込まれる眼疾患は「角膜疾患」のみである。

 角膜の透明性が損なわれたり、形状が不安定になると角膜移植が行われる。角膜移植には「全層角膜移植術」 「深層角膜移植術」 「角膜内皮移植術」などがある。

角膜移植には献眼者による眼球提供が必要だが、近年減少傾向にある。当講演がアイバンクの活動について考えるきっかけになっていただけたら幸いに思う。

目の健康相談会では約30名の方が直接眼科医に相談されました。
ビジョンバンによる目の無料健診では50名以上の方が健診を受けられました。
日出務していただいた先生方はもとより、視能訓練士の皆様、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大なご協力により成功裏に終了いたしました。

皆様、ありがとうございました。

今後も徳島県眼科医会会員の皆様にはご協力をお願い申し上げます。