2016年「目の健康講座」

平成28年度の「目の健康講座2016」が9月25日(日)午後1時~4時30分
徳島市沖浜東の「ふれあい健康館ホール」で行われました。

1 講演会

  • 「抗VEGF療法(加齢黄斑変性を中心に)と再生療法 徳島大学眼科講師 香留 崇先生
  • 「緑内障 患者さんに知ってほしいこと」 徳島県眼科医会理事 菅井 哲也先生

2 アイバンクの紹介

日本アイバンク協会作成「ヒカリ」上映と献眼登録の仕組み紹介
徳島アイバンク理事長 山根 伸太先生

3 目の健康相談会(当日先着30名)

  • 香留 崇先生 徳島大学眼科
  • 菅井 哲也先生 すがい眼科
  • 藤江 準先生 藤江眼科
  • 盛 隆興先生 盛眼科

主催:徳島県眼科医会、日本眼科医会
共催:徳島大学眼科、徳島アイバンク、徳島県医師会、徳島市医師会、ふれあい健康館、徳島新聞社

 今年は天候に恵まれ200人の聴講者がありました。香留先生には抗VEGF療法と再生療法について加齢黄斑変性を中心に公演していただきました。加齢黄斑変性は加齢に伴い網膜色素上皮に老廃物が蓄積して、痛んだ網膜色素と接する黄斑の網膜が傷害される病気であると定義されました。特に滲出型は黄斑に異常な(脈絡膜新生血管)ができ新生血管から滲出液がたまって網膜を傷害し、その新生血管はもろく、容易に破れて出血を起こし視力低下の原因になるとのことでした。

 加齢黄斑変性は先進国では成人の失明原因の第1位であり、日本では50歳以上の約1.2%(80人に1人)にみられ、早い人では40歳代でも発症するとのことでした。症状は周りが見えているが、見たいところが見えない状態になり、中心部がゆがんで見える変視症、中心部が真っ黒になって見えない部分が出てくる中心暗点などがあるとのことでした。最近の治療法で主流となっているのは抗VEGF療法とのことでした。ただ目の状態を完全に元に戻す治療法は未だ発見されておらず、病気の進行を遅らせ、低下した視力を維持もしくは改善させることが目標となっており、加齢黄斑変性は放置しておくと、症状がどんどん進行していくので、早期発見、早期治療が大切であると訴えました。

 再生療法に関しては、基礎研究から臨床応用が活発になされており、加齢黄斑変性に対するIPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の移植治療は、世界初のIPS細胞を使用した治療として注目されているが、現実に使える治療になるかと言われると現在ではまだ難しいとのことでした。

 次に菅井先生には緑内障について講演して頂きました。緑内障は眼圧が上昇し視神経が圧迫され、視野が欠けてくる病気で、40歳代で2%、70歳代で10%、40歳以上の20人に1人がかかっているとのことでした。緑内障は慢性と急性が有り、一般的に緑内障といわれるのは、ゆっくりと視野狭窄が進行していく慢性緑内障であり、その80%が解放隅角緑内障とのことでした。慢性緑内障は自覚症状が少ないのが特徴で、健康診断や人間ドックで偶然発見されることが多いとのことでした。治療については、目薬によって眼圧を下げることが大切だが、目薬では視野狭窄の悪化が防げない場合には手術を選択する場合もあるとのことでした。慢性緑内障では、一度狭くなった視野は元に戻らず、視野狭窄が悪化していくのを遅らせるしか治療方法が無いので、早期発見、早期治療がとても大切だと訴えました。

 次に急性緑内障について解説されました。急性緑内障は緑内障発作とも呼ばれ、急激な眼圧上昇による目の痛み、視力低下、頭痛、吐き気、嘔吐などが引き起こされ、数日で失明してしまうこともある病気とのことでした。小柄な女性や遠視の人、高齢者や白内障の人に多いとのことでした。緑内障発作は、手術によって治療することも予防することも可能なので、白内障になるような年齢になったら一度眼科受診することが大切であると話されました。

 次に山根先生にはアイバンクについて講演していただきました。アイバンクはドナー(角膜を提供する人)とレシピエント(角膜を待つ患者さん)の架け橋の役目をするところであり、レシピエントへの手術が円滑に行われるようにドナーとレシピエントの登録を行っているとのことでした。角膜が病気や怪我で濁った場合の治療法が角膜移植であり、亡くなられた人からいただいた角膜と入れ替える手術が主流となっているとのことでした。眼球提供申込書や眼球提供登録カードについて解説して頂きました。献眼は目に病気があっても角膜が透明であれば可能であり、近視、乱視、白内障、緑内障、眼底の病気でも可能とのことでした。

また献眼には年齢制限はなく90歳の方でも可能であるが、感染症の人、例えば、B,C型肝炎、エイズ、白血病などの血液の病気の人、眼内腫瘍の人などはできないとのことでした。

 目の健康相談会には30人が相談をされました。当日出務していただいた先生方はもとより、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大な御協力のもと盛大に終了いたしました。皆様どうもありがとうございました。

徳島県民の皆様、来年もぜひご参加ください。