2008年「目の愛護デー行事」

平成20年度 目の愛護デー行事「目の健康教室」が、10月5日(日)徳島県医師会館において行われました。

1 講演会

  • 「ドライアイと流涙症」 槃木眼科 槃木 弘先生
  • 「ぶどう膜炎」 徳島大学助教 江川 麻理子先生

2 徳島アイバンク提供のビデオ上映

3 ラッキー抽選会

4 目の健康相談会

相談医師

  • 鎌田 泰夫先生(徳島県立中央病院)
  • 武田 美佐先生(阿波病院)
  • 藤田 善史先生(藤田眼科)
  • 湊 真奈先生(徳島赤十字病院)

今年はあいにくの雨にもかかわらず170人の参加者がありました。

槃木先生にはドライアイと流涙症について分かりやすく講演していただきました。
ドライアイは近年コンタクトレンズ装用者の増加やコンピューターを仕事で長時間使う人が増えたため注目されている病気ですので若い聴衆が目立ちました。治療法では従来の点眼治療以外の最新の液状涙点プラグの紹介もしていただきました。また流涙症についても原因、検査法、治療法について分かりやすいイラストを使って易しく講演していただきました。

江川先生には代表的なぶどう膜炎であるベーチェット病、サルコイドーシス、原田病について分かりやすく解説していただき、皆さん興味深く聞き入っていました。

目の健康相談会には40人が相談をされました。

当日出務していただいた先生方はもとより、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大な協力のもと盛大に終了しました。
皆様どうもありがとうございました。徳島県民の皆様、来年もぜひご参加下さい。

2008年10月6日 徳島新聞 社会24面記事の全文は、 ここをクリックしてご覧ください。 PDFファイル(648 KB)

講演会

「ドライアイと流涙症」

いわき眼科 槃木 弘 先生

 最近の生活習慣の変化として、パーソナルコンピューターの増加、及び情報端末機としての携帯電話の普及に伴い、目にかかる負担は急激に増大しています。現代人にとってドライアイは重要な疾患となってきています。

 ドライアイとは「色々な原因により涙と目の表面に異常を起こす慢性疾患で、目が気持ち悪かったり、見えにくくなったりする病気」と定義されています。「目が痛い」「目が乾く」「目が疲れやすい」などの症状があります。

 ドライアイの検査では、涙が減少していたり、角膜に傷が入っている所見が見られます。原因としては「エアコン」「パソコン」「コンタクトレンズ」「マイボーム腺機能不全症」などによる涙が蒸発しやすくなる場合や、「角膜屈折矯正手術」「シェーグレン症候群」などによる 涙が分泌されなくなる場合、その他「結膜弛緩症」によるものなどがあります。

 治療としては、点眼治療の他に「涙点プラグ」により涙をためる外科的治療があります。またドライアイの方の日常生活の注意点としては、加湿器などを使って空気の乾燥を 防いだり、ドライアイ用の保護メガネを装用する方法があります。少しでも症状がある場合は、眼科を受診し、正しい治療にて目を守りましょう。

 流涙症とは涙がこぼれてしまう疾患で、おもな原因として加齢による「鼻涙管閉塞症」があります。治療としては、涙の流れる通路と鼻の粘膜を結ぶ「涙嚢鼻腔吻合術」や、「涙道シリコンチューブ挿入術」などがあり、最近では内視鏡を用いる「内視鏡涙道手術」などが行われています。

「ぶどう膜炎」

徳島大学助教 江川 麻理子 先生

 ぶどう膜は、脈絡膜、毛様体、虹彩からなり眼球の内側を覆っています。このぶどう膜に何らかの原因で炎症がおきることをぶどう膜炎といいます。ぶどう膜は血管が多いことから、他の臓器の炎症に合併してぶどう膜炎を起こす場合もあります。

 ぶどう膜炎の原因は、日本の3大ぶどう膜炎といわれるベーチェット病、サルコイドーシス、原田病が30~40%、そのほか膠原病、感染、糖尿病、悪性腫瘍などがあります。しかし、様々な検査を行ってもわからない特発性ぶどう膜炎が30~50%を占めています。検査に加え詳細な問診による情報収集が診断に役立ちます。

 充血、痛み、まぶしさ、飛蚊症、視力低下など様々な症状がでますが、中には自覚症状がない場合や、炎症が隣接する網膜にも及び高度の視力低下を引き起こして失明にいたることもあります。

 治療は、感染性ぶどう膜炎では細菌やウイルスなどの病原体に効く薬剤を使用します。3大ぶどう膜炎などの非感染性のぶどう膜炎では、炎症を抑えるために副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用し、点眼、局所注射、全身投与など炎症の場所、程度に合わせて使い分けます。また、重症例では免疫抑制薬の併用を行うこともあります。ステロイドは炎症に対してとても有効ですが、緑内障や白内障を起こす副作用もあり使用中は十分な経過観察が必要です。また、薬の用量もその都度症状に合わせて判断するため、指示されたとおりの薬および通院は必ず守りましょう。ぶどう膜炎は、炎症を繰り返し長期にわたる治療を要する方もいます。普段からの体調管理、異常を感じて際には速やかに担当医に相談することも大事です。