2014年「目の健康講座」

平成26年度の「目の健康講座2014」を9月28日(日)午後1時~4時30分
徳島市沖浜東の「ふれあい健康館ホール」で行われました。

1 講演会

  • 「近視矯正手術とコンタクトレンズに関する諸問題」 徳島県眼科医会理事 三木眼科 三木 聡先生
  • 「糖尿病で失明しないために」 徳島県眼科医会理事 賀島眼科 賀島 誠 先生

2 アイバンク紹介

「徳島アイバンク30年の歩み」 徳島アイバンク理事長 塩田 洋先生

3 目の健康相談会(当日先着30名様)

  • 川原 弘先生 川原眼科
  • 中茎 敏明先生 藤田眼科
  • 早渕 直子先生 アイクリニック常三島
  • 三河 貴子先生 三河眼科

主催:徳島県眼科医会、日本眼科医会
共催:徳島大学眼科、徳島県医師会、徳島アイバンク、徳島市医師会、ふれあい健康館、徳島新聞社

今年は天候に恵まれ170人の参加者がありました。

三木先生には近視矯正手術として代表的なレーシックと若い人に人気のあるコンタクトレンズについて講演していただきました。まずレーシックの歴史と現状について解説され、日本では10万人以上がこの手術を受けているとのことでした。また実際の手術の様子をビデオによる動画で供覧していただきました。またレーシックの良い所悪い所、合併症についても解説していただきました。レーシックを検討している人へのアドバイスとしてはインターネットの誇大広告に注意する事、合併症や問題点について十分に説明を受け、納得しておくこと、信頼できる専門医を選ぶことが大切であるとの事でした。次にコンタクトレンズの問題点、特に今若い女性に人気のあるカラーコンタクトによる眼障害について詳細に解説していただきました。

 次に賀島先生には「糖尿病で失明しないために」と題して失明原因のトップである糖尿病網膜症について講演していただきました。糖尿病網膜症の各病期における眼底写真を供覧していただき、それぞれの治療方法、眼底検査の実施頻度についても解説していただきました。また糖尿病黄斑浮腫の最新の治療法であるVEGF阻害薬や、器具の小型化によって低侵襲になった、最新の硝子体手術についても手術中のビデオ供覧を交えて解説していただきました。

塩田先生には「徳島アイバンク30年の歩み」と題して講演していただきました。徳島アイバンクの歴史や、眼球提供から角膜移植手術までの流れ、新しい手術方法であるDSAEK(ディーセーク)や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた角膜再生の研究についても分かりやすく解説していただきました。

目の健康相談会には30人が相談をされました。当日出務していただいた先生方はもとより、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大なご協力のもと盛大に終了しました。皆様どうもありがとうございました。徳島県民の皆様、来年もぜひご参加ください。

講演会

近視矯正手術とコンタクトレンズに関する諸問題

三木眼科 三木 聡先生

近視矯正手術の代表であるレーシックは、欧米では1990年から、日本でも2000年から行われるようになった。
レーシックを行うと裸眼視力が向上するので眼鏡やコンタクトレンズが不要になり、スポーツや災害時に有利になる。

一方、手術なので合併症等が起こりえる。軽い合併症にはドライアイやハロー・グレアがあるが、多くは一過性で時間とともに改善する。重篤な合併症には角膜拡張症や感染症があるが、ルールを守って手術を行う限り発症することはない。

他に近視を矯正しすぎて術後遠視になる過矯正の問題がある。過矯正は眼精疲労や頭痛、肩こりの原因になり、また近くのものがみえにくくなる。一部の施設では裸眼視力が1.5や2.0になることを宣伝しているため、狙って過矯正にすることがあるので注意が必要である。

レーシックを検討する時は、インターネットの誇大広告には注意して、合併症や問題点について十分に説明をうけ、納得・同意しておくことが大切である。そしてなにより信頼できる専門医を選ぶことが重要である。

コンタクトレンズは日本でおおよそ1800万人の人が使用しており、最近眼障害が増加している。特に10、20歳代のカラーコンタクトレンズによる眼障害が急増している。

カラーコンタクトレンズは、眼科を受診せずにインターネットやドラッグストアで簡単に購入することができるので、はじめてのコンタクトレンズがカラーコンタクトレンズという女子中学生、高校生が増えている。彼女たちは眼科医の指導を受けていないので、コンタクトレンズの使用方法やケア方法が誤っていることが多い。また眼科で購入していないので、定期検査を受けることがなく、眼にトラブルが生じてもかなり悪化するまで眼科を受診しない。

国民生活センターのカラーコンタクトレンズの調査によると、装用試験では透明コンタクトレンズに比較して明らかに眼障害が多く、製品試験でも承認基準に適合していないものが大部分であった。

カラーコンタクトレンズによる眼障害も重症化すると、永久に視力障害が残存したり、場合によっては失明することがあるので注意が必要である。

カラーコンタクトレンズで眼障害を起こさないためには、眼科医の処方に従ったレンズを選択すること、目に異常を感じたらすぐにレンズを中止すること、定期検査を受けること、レンズの使用期限を守りレンズケアを正しく行うことが重要である。

糖尿病で失明しないために

賀島眼科 賀島 誠 先生

糖尿病は、全身の血管に障害が起きる病気で、初期には自覚症状が乏しく進行してから気づく事も多い。そのため全国の糖尿病患者は増加し続けている。徳島県においても糖尿病患者は増え続け、糖尿病死亡率は長年全国ワースト1位である。この事から糖尿病網膜症による失明者も徳島県では多いと思われる。 糖尿病網膜症の治療の基本は血糖コントロールだ。血糖コントロールは、HbA1c7%以下が望ましい。眼科で行う治療には、網膜光凝固術、硝子体手術がある。今年から黄斑浮腫をおこす原因である抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬を硝子体内に注射することも可能になった。 最新の薬や手術器械の進歩により治療成績は向上しているが、治療で完全にもとに戻す事は出来ない。散瞳して行う眼底検査を定期的に受け、進行する前に治療を受ける事が重要である。