平成23年度 「目の健康講座」が、9月25日(日)徳島県医師会館において行われました。
1 講演会
- 「3D映像と眼の関係」 徳島大学眼科講師 四宮 加容先生
- 「徳島アイバンクの活動」 徳島アイバンク理事長 塩田 洋先生
- 「目の感染症」 徳島県眼科医会副会長 井上 須美子先生
2 ラッキー抽選会
3 目の健康相談会
相談医師
- 糸田川 誠也先生(糸田川眼科)
- 岡本 好博先生(岡本眼科医院)
- 島 裕美先生 (島内科眼科医院)
- 西内 貴子先生 (徳島健生病院)
今年は三連休の最終日に開催したためか例年より少なめの120人が参加しました。
四宮先生には今話題の3D映像と眼の関係と題して講演していただきました。まず3Dの歴史から始まり、3Dの原理、両眼視、立体視、幅湊、斜視などについて大変分かりやすいスライドを使い解説していただきました。3D映像視聴での眼精疲労や映像酔いのメカニズムの解説と小児の視聴には特に配慮が必要であることを強調しました。
次に塩田先生には徳島アイバンク活動について講演していただきました。眼球提供から角膜移植までの流れを解説し、近年は献眼登録者数が減少傾向にあるので献眼登録の大切さを訴えました。また角膜移植患者さんに手術の体験談を語っていただきました。
井上先生には目の感染症について講演していただきました。眼科でよく見られる感染症や珍しい感染症、特に、はやり目については予防法について詳しく解説していただきました。
目の健康相談会には40人が相談をされました。
当日出務していただいた先生方はもとより、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大な協力のもと盛大に終了しました。皆様どうもありがとうございました。徳島県民の皆様、来年もぜひご参加下さい。
講演会
3D映像と眼の関係
徳島大学眼科講師 四宮 加容先生
2010年は「3D元年」といわれるほど、3Dを駆使したさまざまなコンテンツが身近になった。そこで3D映像が目に与える影響や映像を見るときの注意点についてお話したい。
私たちは物を見るとき左右の目の視線を無意識のうちに対象物に合わせている。その時に両目の視線が交わるところを輻輳点(ふくそうてん)、視線の交差が作り出す角度を輻輳角(ふくそうかく)と呼ぶ。輻輳角は近くのものを見るときに大きくなり左右の黒目は寄り目になる。遠くのものを見るときの目はまっすぐになり輻輳角は小さくなる。
人間の目は両眼が6~7センチほど離れているため、それぞれの目の見え方には微妙なズレが生じる。それを「両眼視差」という。脳が両眼視差によるズレを補正して一つの映像に再構成することで、人間の目は立体視(立体感をつかむこと)できる。
3Dの原理はその両眼視差の特性を利用し、特殊メガネを装着して右眼と左眼で別々の映像を振り分けて見せることで、脳が立体的な3D映像として認識するように作られている。
立体視の機能は生後2~4カ月で芽生え、2歳までに成人の80%が完成、5~6歳で完成する。ところが斜視がある場合は立体視能力の発達が十分でないケースがある。斜視は一方の目の視線が鼻側に寄っていれば内斜視、外側に向いていれば外斜視という。
斜視の治療は眼球の筋肉の位置を変える手術やメガネによる矯正などいくつか挙げられる。症状があれば早めに眼科専門医に相談してほしい。
3D映像を見続けるとピントを合わす目の調節機能が狂うため疲れ目になりやすく、めまいや頭痛などを引き起こす場合もある。国民生活センターにも3D映像を見た後の違和感を訴える報告が寄せられている。
今後ますます3D映像が普及するなかで、視聴者側も正しく視聴するための心構えが必要になる。3D映像を見る際は体調不良を起こす恐れがあることを理解し、もしも体調不良を感じたらただちに視聴を中止すること。特に5~6歳以下の子どもの長時間視聴は避けた方がよい。3D映像を見る場合は、目を水平にして見る、テレビの正面で見る、など正しい視聴の仕方を心掛けてほしい。
目の感染症
いのうえ眼科 井上 須美子先生
目の感染症は細菌、ウイルス、真菌(カビ)、クラミジア、アメーバなど様々な原因によって起こる。
ハヤリメ(流行性角結膜炎)はアデノウイルスによるもので、伝染予防が大切である。流水での手洗い、外出を控える、風呂は最後に入るなど、他の人にうつさないための配慮が必要である。
若者の角膜感染症はコンタクトレンズの安易な取り扱いによることが多い。使用期限を守る、つけたまま眠らない、洗浄保存液は継ぎ足して使わない、保存ケースを清潔に使うなどの取り扱い方法を厳守することが大切である。
目の中の感染症には白内障手術や硝子体注射後の感染がある。一刻も早い治療が必要である。
その他寄生虫などのめずらしい感染症についても話をした。
*掲載した写真は、徳島新聞社 様 より提供していただきました。