平成18年度の目の愛護デ-行事「目の健康教室」が、10月15日(日)徳島県医師会館において行われました。
1 講演会
- 「色覚バリアフリーについて」 布村眼科 布村 元先生
- 「加齢黄斑変性」 徳島大学 内藤 毅先生
2 徳島アイバンク提供のビデオ上映
3 お楽しみ抽選会
4 目の健康相談会
出務医師
- 賀島 誠先生(賀島眼科)
- 秦 聡先生(秦病院)
- 美馬 彩先生(徳島県立中央眼科)
- 松本 治恵先生(松本眼科)
今年も天候に恵まれ230名と多数の方々が来館されました。
布村先生には色覚バリアフリーについてとてもわかりやすく講演して頂き、 色覚異常者の実際の色の見え方がよく理解できました。
内藤先生にも最近増えてきた加齢黄斑変性について わかりやすい講演をして頂きました。
目の健康相談会は今年も40名の方が相談されました。
その内訳は 飛蚊症、白内障、緑内障、網膜剥離 その他でした。
当日出務された先生方はもとより、徳島新聞社のスタッフの皆様の多大な協力のもと盛大に終了しました。 皆様どうもありがとうございました。
講演会
「加齢黄斑変性」について
徳島大学眼科 助教授 内藤 毅
加齢黄斑変性は、欧米では成人失明原因の一位を占めていて、大変問題になっています。日本でも食生活の欧米化のためか、近年の発症率は アメリカとほぼ同等であり、増加傾向であることが推測されます。人種により発症に差があり、日本人では加齢、男性、喫煙が危険因子として挙げられています。
黄斑は網膜の中心部分で、物を見るときに最も重要な働きをします。加齢黄斑変性とは、この黄斑が加齢に伴い傷害される疾患で、浸出型と萎縮型があります。萎縮型は加齢に伴ってゆっくりと黄斑の網膜細胞が萎縮します。これに対して、浸出型では黄斑の網膜下に新生血管(異常な血管)が出現し、新生血管からの漏出や出血のため、黄斑の機能が傷害されます。
主な症状は、物がゆがんで見える変視症、中心部が暗く見える中心暗点、病巣に一致して視野が欠損して見えたりします。病巣の拡大によって、症状が悪化していきますが、特に黄斑の中心部(中心窩)の機能が高度に傷害されると、急激な視力障害が出現します。
加齢黄斑変性の診断と治療には、眼底(網膜)の血管造影検査(蛍光眼底造影)が必須です。蛍光眼底造影を行うことにより、網膜下の新生血管の存在が分かり、診断の確定と治療方針の決定が可能となります。 萎縮型に対しては有効な治療法はなく、循環改善薬などが試みられます。浸出型に対しては薬物療法、レーザー網膜光凝固、黄斑下の新生血 管を手術的に直接抜去する黄斑下手術、さらに最近では網膜下の新生血管を選択的に凝固する、光線力学療法(PDT)が開発されました。 各々の治療法には適応があり、患者さんの状態によって決定されますが、光線力学療法が主流となりつつあります。しかし、治療の目的は病気の進行を抑えることであり、現時点では決定的な治療法はありません。従って、ゆがみなどの症状がないかどうか、片眼ずつ格子状のものを見て各自でチェックしてください。もし、異常を感じたら眼科で専門的な検査を受けることが大切です。
予防法としては、喫煙が危険因子として挙げられていますので、喫 煙者はぜひ禁煙していただきたいと思います。さらに有害光線である紫 外線を避けるため、サングラスの着用も長期的には有効であると思われ ます。また健康補助食品(サプリメント)も進行を遅らせるのに有効と の報告があります。